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「ま、いいか。人間なら物忘れの一つや二つはあるさ。それより鮮花。幹也から電話があった。なんでも橘佳織とかいう女の成績を調べてみろってさ」 「————え?」  式の台詞は、わたしの中途半端な思考を止めてしまうほど意外だった。  わたしは、幹也がこういった類の事件に関わるのは許せない。  彼は夏におかしな幽霊事件に関わって、三週間ばかり眠り続けた事がある。幸い幹也は一人暮らしだから両親には知られなかったし、昏睡していた身体の管理は橙子師が行なってくれたから良かったものの、橙子師がいなかったら三日ほどで命を落としていただろう。  それ以来、わたしは幹也がつまらない厄介事に関わらないとようにと目を光らせている。……始末の悪い事にあの男はこういう事にだけは物凄くカンが働いて、去年の十一月だって寮の火事の事で色々と勘繰っていたりしたのだ。  ゆえに、わたしは今回の事件については幹也に一言も話していない。橙子師にも秘密は厳守させた。なのに、どうしてこんな絶妙のタイミングで連絡をいれてきて、あまつさえ橘佳織の成績を調べろ、なんて言ってくるんだろう? いったい幹也は誰から今回の話を——— 「……そっか。考えるまでもなかった。元凶はいつだってあんただものね、式」 「なんだよ。居ないおまえが悪いんだ。あの様子じゃ明日もかけてくるだろうから、昼すぎは自分の部屋で待ってればいいだろ」  そういう事ではないのだが、そういえばそれも横取りされたのかと気がついて、式を睨む目がよけい厳しくなってしまった。  式はわたしの視線を気にもしないで話を続ける。 「幹也が言うには体育の出席率が重要らしいぜ。どう思う、鮮花。オレにはあいつの考えなんてさっぱりだ」 「体育の出席率?」  なんだろ、それ。新手の暗号かしら、なんてとぼけた時、脳裏に稲妻めいた閃きがあった。  黄路美沙夜は言った。橘佳織は火事に巻き込まれて死んだのではない。彼女は自殺したのだと。  重要な事をわたしは聞き逃し、核心となる事実を黄路美沙夜は口にしなかった。  それは橘佳織の———— 「……自殺の、理由」
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