ミュウミュウ財布ハートチャーム
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null「当たり」  出た場所は、タイル張りの部屋だった。  ぱっと見た印象は病院の手術室に似ているが、だが、違う。  そこは俺にとって、言わば馴染《なじ》みの空間だった。  検死室だ。  床と壁はタイル張り、突き当たりの壁に向かって事務机が一つ置かれていて、その上には書類が散らかっている。  俺の『面会』したい相手は、部屋の中央にいた。  クッションもシーツも枕もない寝台に、彼女は全裸《ぜんら》で横たわっている。  金属製の、解剖台《かいぼうだい》の上に。  写真で見たことはあったが、実際に『逢う』のはこれが初めてだ。足の親指に引っかけられたプレートで、名前を確認する。  スドウ・イレーネ。  俺は少女の顔を覗《のぞ》き込《こ》むと、 「やあ」  声をかけた。  うっすらと瞼《まぶた》が開いていて、まるで薄目《うすめ》を開けて俺の顔を見上げているようだ。だが彼女が何も見ていない証拠に、その眼球はふやけて白く濁《にご》っている。  肌も、真っ白だ。  唇《くちびる》にさえ、色彩がない。  俺は、彼女がどんな女性だったのかを知らない。