forever 21ベビー
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null 空海がうなずくと、弥勒菩薩は口を開いた。  その口から、ぬうっと一巻の巻き物が現われた。弥勒菩薩はそれを右手でつまんで、口の中より引き出して左手の上に乗せた。 「これは、高力士《こうりきし》がその死の寸前に、晁衡《ちょうこう》にあてて書いたものじゃ」 「高力士様が——」  弥勒菩薩は、その巻子《かんす》を、空海の前に置いた。 「空海よ、それをぬしの手から青龍寺の恵果《けいか》へ渡しておけい」 「よろしいのですか」 「我が名を出し、丹翁が手より取りもどしたと言えば、それがいずれぬしの役にも立つであろう——」 「では、そのように——」  空海が頭を下げた。 「恵果の手に渡す前に、それを読むも読まぬもぬしの裁量じゃ」 「はい」  うなずいた空海をしみじみと見つめ、 「しかし、華清宮か……」  ぽつりと弥勒菩薩は言った。 「はい……」  涙を流しながら訴えたのでございました。  武恵妃様を愛しておられた玄宗様は、この言葉をすっかり信じてしまわれ、即刻に宰相たちを招集し、