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2015-02-01 01:03    ミュウミュウ財布フリル
 再び萌ゆる春にあはむに  味土野に幽閉中の妻玉子に、夫忠興が送った歌というのであるが、多分に現代的な表現である。私なら結句を「ならなくに」といった語で締め括りたいと思うのだが……。  歴史小説という以上、時代考証という問題がある。綾子はこの時代考証を、毎号樋口清之氏におねがいした。二、三度誤りを指摘された程度であったというが、初めての歴史小説、いろいろと神経を使ったことと思われる。 八「天北原野」 ——登場人物への感情移入 「天北原野」は、綾子が初めて「週刊朝日」に書いた小説である。「氷点」「積木の箱」「続氷点」は朝日新聞の本紙に連載されたが、「天北原野」は日刊紙の連載ではなく、週刊誌に連載されたということである。一九七四年十一月八日号から、一九七六年四月十六日号に亘《わた》る長篇であった。  帯《たい》 状《じよう》 疱《ほう》 疹《しん》に罹《かか》ったのが一九八〇年の春で、その数年前に書いていただけに、この小説は並々ならぬ力が注がれていた。綾子著の中で、力作の一つに挙げてよいと思われる。とにかく資料を駆使し、綿密な取材のもとに書き上げている。  書き出しの舞台は日本海に面する北海道の北西部、天《て》売《うり》・焼《やぎ》尻《しり》の島が展望される地域。ハマベツは実在の地名ではない。問題を持つ人物が多く登場することもあって、綾子はあえて仮の地名にしたようである。  このハマベツから始まって、舞台は稚《わつか》内《ない》、樺《から》太《ふと》、北海道のオホーツク海側の地域に展開していく。登場人物たちの仕事は、大別して漁業と林業(造材業)になるのだが、この内容をつかむべく、綾子は実に多くの人に取材した。  先ず私の兄健《けん》悦《えつ》に、かなりの時間話を聞いた。私の兄は私より五歳年長である。父が一九二七年三十二歳で死んだあと、母とも別れて住むことになり、兄と妹は父方の祖父の家に預けられ、私は母方の祖父に預けられて幼少期を過ごした。  兄は小学校を卒業したあと、よく出稼ぎに歩いた。その頃は兄も私も、母と一緒に生活するようになっていたが、兄は様々な肉体労働をして母と私のために働いた。運送会社の作業員もした。まだ二十歳前であったが、体力は人並以上で、米三俵(一八〇キロ)を肩にのせられたこともあったという。  兄はまた家をあとにして転々と渡り歩き、遠く樺太の国境近くまでも行った。弟の私を進学させたい思いもあって、少しでも収入の多い仕事を求めていたようだが、危険な仕事にもついていた。その一つが流送人夫で、樺太ではこの仕事に長く従事したようである。  流送というのは、山林から伐《き》り出された材木(丸太)を大きな川の流れを利用して、目的地に運ぶ作業である。小説の中に「ツバメの松」なる人物が登場する。これは多分に兄の体験にもとづいて、綾子は書いたはずである。広い川の上にぎっしりと浮かぶ丸太が、スムーズに流れるように、一丁の鳶《とび》口《ぐち》を持って丸太の上を飛び回る。一度、兄は誤って水中に落下したこともあるとか。上を見ると水面に丸太がすき間なく浮かんでいて、その上に這い上がることはできない。沈着に岸を見定めて川底を歩き、命を落とさずにすんだことを話してくれたことがある。